久々映画『胡同の理髪師』

いつ振りだろうか?かなり久しぶりに,映画を見てきた。『胡同の理髪師』@名演小劇場。
名演小劇場,今日初めて行ったんですが,こういう小さくって手作り感のある映画館,やっぱり好きです。

この映画は,前にテレビか何かでチラッと見かけて気になってたのが,名演では今日が封切りだというのを見つけて早速足を運びました。後で気づいたのが,今日って1日でしたね。映画の日なだけあって,50席は満員。年齢層高かった…。


内容は,五輪を控え変化の真っ只中にある北京,古きよき下町の胡同で暮らす93歳で現役の理髪師チン爺さんの日常をドキュメンタリータッチで描いています。主役のチンさん自身を役者でもない素人の本人が演じているっていうから凄い。
印象的だったのが,旧いものが壊され,新しいものが出来て行く今の北京と対比して,静かな部屋の中,メトロノームのような一定のリズムを生み出してた振り子時計。時間は一方向にしか進まない,当たり前だけど悲しい感じのするリズム。やがて訪れるであろう老いと死について,変わる事と変わらずにあること,労働と対価など,110分のなかでいろんなことを考えながら,見てしまいました。
とは言え,チン爺さんの数々の含蓄のあるそれでいて飄々とした言葉に,見終わった後は凄く気持のよい映画でした。


「胡同」を知ったのは,数年前かなぁ?。一時期ハマッテた章子怡のドキュメントで,「胡同を歩くと落着くんだ〜」という話をしながら散歩していた映像。
北京といえば,ちょうど10年前の学生時代に,初めての海外旅行で上海〜北京の夜行列車突撃ツアーをやって,北京に2泊位(?)したのですが,そんな頃はその存在すら知りませんでした。どちらかっていうと,故宮より南側や王府井の辺りを歩き回った記憶があり,(恥ずかしながら…)今回買った映画のパンフで,胡同は故宮の北側に位置していることを知りました。

あの頃は海外の街を目にして,自らの経験と比較しながら感じたコトを「ここはどんな街」と自分で再定義するだけの基準を持ちあわせてなかったので,その時目にした街並みは殆んど覚えてないんだよなぁ〜天安門の広大さと市内ほどスモッグでよどんだ空は覚えてるんだけど。
今年の夏の五輪を控え,また毎年2桁の経済成長の中で,変化することが当たり前になってる国の中心だから,10年も経つと違うんだろうなぁ。開発の波に押され,解体されているようなので,一度,消えていってしまう前に胡同を歩いてみたいです。


とまぁ,気持ちよく映画を楽しんだのはいいのだけど,開演前に外した腕時計を,ポケットに入れたつもりが落としたらしく,映画館を出た後で気づいてえらい目に…結局見つかったから良かったんだけど。拾って届けてくれた方,ありがと〜。

3月に入って,若干春めいてきて,気の緩んだ一日でした。