BD vs HD (vs AppleTV)

年明けCESの開催前後から,かまびすしかった新世代DVDのフォーマット戦争が一気に片付きそうなニュースが昨日辺りから流れてますね。(一部では,東芝からの意図的なリークとか言われてるし…)今日の日経新聞も一面は,「HD DVD 東芝事実上撤退へ 新世代の規格争いブルーレイ勝利」と。


1月にワーナーがBDへ一本化を発表したのが,やっぱり直接の引き金か。
北米でのプレーヤーの販売シェアも,この発表前後で,ほぼ互角(51.2% : 48.8%) ⇒ 大打撃(92.5% : 7.5%)となってて,2月に入って,小売のベストバイ,ウォルマートがBD販売を優先する方針を明確にしたため,販路を失った東芝の決断を後押ししたようです。


たしか2〜3年ほど前に一度は規格を統一しようという話が合ったはずだけど,交渉決裂。BDとHDの技術面から見た違い・利点等詳しいことはよくわかりませんし,東芝がどうとかいうより,技術が市場原理の大きな流れにもみ消されて行く様は,見ていてちょっと悲しいですね。そのコア技術の第一線で開発を担当してきた技術者,市場への浸透を図ってきた企画やマーケティングの人,いろんな人の仕事でかいた汗が礎となって生まれてきた製品,また今後生まれるはずであった製品が意志半ばにして離陸直前で失速するって。
(まあ,それが資本主義の発展を促す根本なのかもしれないけど。)
ニュースの背後に,関わってきた人の落胆と悲鳴が聞こえてきそうな,そんな感じで読んでました。


片やBlu-ray
年末商戦向けのSONYのCM,矢沢永吉の「ハイビジョンなのにブルーレイじゃないの? もったいない!」は結構インパクトありました。結果,新世代DVDの12月のシェア(国内)は,SONY61.1%,松下23.7%,シャープ10.1%とSONYの圧勝。HDの東芝は5.1%(BCN)。
国内ではそんな感じで,95%以上のシェアがBlu-rayがあり,既に勝負はついていたわけですが…東芝は,止めるにしてもいきなり止められるわけでもなく,既に販売した分をどうやって面倒を見ていくのか?結構将来に対しての大きな負債をしょった形になりますね。


とはいえ,個人的には,新世代DVDのフォーマットなんてあまり興味が在りませんでした。

家では,4年ほど前に買った東芝のHDD&DVDレコーダーを使ってますが,HDDに録画→DVDに焼いて保存という行動は,最初はせっせと数枚焼いてみましたが,焼いたDVDを後から見るか?というと全く見ず。焼くという動作に費やした時間が無駄と判りました。それ以上に,焼いたものが捨てられず,メディアを保持するだけの場所というリソースが既に生活の負担となっています。これは買ってきたパッケージDVDも同じ。

普段から,こういった生活を覚えた人が増えてくると,DVDという物理メディア自体が邪魔な存在になる気がします。メディアのフォーマット争いを,ハード主体の日本メーカー同士が争って内輪で首を絞めあってる一方で,海の向こうでは,AppleがMacWorldExpoで発表したAppleTV(Take2)が,iPodが携帯再生プレーヤーで実現したものと同じく,これからのネット時代のリビングへのコンテンツ配信の本命になりそうな気がします。

手元にパッケージメディアを置く意味がそれほどなくなったことに気づくと,ネットのあちら側に置いておいて,必要なときに取り出せばいいじゃないか!と。それが大容量を求めるHDコンテンツならなおさらだと思うのですが。

Apple TV 160GB MB189J/A

Apple TV 160GB MB189J/A



最近,CDやDVDのデジタル媒体が劣化で読めなくなるという話を耳にします。確かに,昔買ったDVDを年末に見ようとしたらエラーで再生できない部分が多数ありました。永遠だと思っていた媒体が,見たいと思ったときに見られないストレス。
手元にあるDVDを数年毎に焼きなおして新たに保存なんてやってられません!

土曜日の日経プラス1 デジタルスパイス/山根氏
『長期保存のための光ディスク媒体に関するフィージビリティスタディ』(財団法人デジタルコンテンツ協会)
http://www.dcaj.org/h17opt/17optstudy.html