「ウェブ時代をゆく」あなたをささえる,下位層

ウェブ時代をゆく」読後感。ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)


 2日間に渡ったけど,ほとんど一気に読ませていただいた。先週の中ごろに,上司から仕事中にふと言われた嫌な一言でささくれ立っていた心を,少なからずなだめてくれる様な,そんな爽やかさが全体にちりばめられている内容だった。


 ウェブ進化論以来,梅田さんの本を数冊,ブログも目を通しながら,何かの雑誌で対談があると書かれていれば,その雑誌を手に取り,その言葉にできるだけ耳を傾けてきた。いつも感じることなのだが,ネットに対するオプティミズム,僕らの世代に対して背中をぐいぐい押してくれるようなメッセージ性が非常に心地よかった。

加えて今回は,「いかに働き,いかに学ぶか」という副題にも有るとおり,働き方,学習し方,そしていかに生きるか?というメッセージが強く出ていて,まさに30代に立ち入り,「今後の人生を,どう働き,勉強していけばよいのか?」ともやもやと考えているうちにはや数年経ってしまった自分自身の琴線に触れる部分が多かった。
ケーススタディ的な例示が出るたびに,自身の仕事の状況に置き換え,所属する組織のあり方を当てはめてみた。結果,大方の文脈で,客観的に見ても"早めに脱出すべし"というような指針を提示されているような気にさせられた。


 とはいえ,製造業に勤める自分にとっては,今まで積み重ねてきたものを,簡単には失うべきで(失いたく)はない。自分の手がけた製品に付いてくれている,多くの顧客(この場合,出先の営業部門,一次顧客,エンドユーザー)も簡単には失いたくはない。それよりも,数年来の付き合いの中から,社内の直接関係のない部署よりは,はるかに信頼関係を築き上げてこれた,台湾ベンダの仲間たちとの関係が一番重要かなぁ?と改めて頭の中でぐるぐると考えていた。

仕事に関していえば,どちらかというと,ハード系の仕事をしてきている自分にとって,ウェブの進化,オープンソースの隆盛という(ソフトウェア屋さんの活躍の広がる)状況よりも,"チープ革命"というのを(正の意味ではなく),負の意味で大きく影響を受けてきた数年だった。ハードとしてのモノの性能は良くなり,しかも安くなる。(結果,同じ数だけ売れても,売り上げは下がる…orz) そんな数年間を,海を隔てて,時にはメールでドンパチやりながら,時には同席して一杯飲みながら,苦楽を共にした仲間との関係を造ってきたわけで,それを維持しつつ,生かしながら,何か新しいことに挑戦できるような,もし次のステップがあるのであれば,そういった場が得られれば良いのになぁ〜と。


 OSI参照モデルを出してみれば,解るんだけど,特に専門分野としているのが,レジデンシャルネットワークの物理層に近いところ,せいぜい第3層までなので,やっぱり,もう少し勉強して,上位層に上がっていかなくちゃいけないのだろうか? (でも,ハードウェアってのも,モノづくりってのも,それなりに面白いんだよなぁ。。。かつ,自らの専門分野は,特に米国発の規格なので,やっぱりそういう意味では最終目的地は米国なのか〜?)


 でも,物理的なネットワークのないところに,ウェブは有り得ない。そういう意味で逆転して考えると,現代のウェブの進化を下位層で支えてきた,ブロードバンドネットワークの構築に一役も二役も買って仕事をすることが出来てきたこの9年間は,やはりかけがえのないものだ。インターネット=WWWという図式ができて早10年以上,ウェブにスポットライトが当たり,ともすれば,忘れがちな,ネットワークを下支えする人々がいて,そこにも同じくテクノロジの進化があるということを,もう少し知って欲しいなぁとも感じたしだいです。




 書き出したらとまらない,読んでる瞬間ってのは,肯定したり否定したりしながら,もっと細部にわたって言いたい事がたくさんあったんだけど,とりあえずはココまで。
本文内のいたるところに,原始的リンクが張られていたので,もう一度,ウェブ進化論に戻って,読み直してみようと思います。