ネットvs.リアルの衝突
'07.2.3読了
前半,6割強はWinny事件にまつわるコトの顛末から始まって,思想的な背景まで切れ込んでいっている。
後半は,日米間における半導体・PC/OS等の標準化戦争,オープンソース,デジタル家電などのトピックを中心にして日米中韓などの国家との関わり方を解説。(前半と後半で,話にイマイチつながりが無い。)
個人的には,学生時代だった90年代後半から,著作権を無視したネット上のMP3ファイル,NapsterやWinMXによるファイル交換の様子を同時代的に見てきたが,最近のWinnyは,あまり身近でなかった身としては,前半部は裏話的な部分も含めて楽しく読めた。
iPodによる独壇場で日本は3度目の敗戦と述べているけど,これだけ,人もモノも含めグローバルに行き交う時代に,日本vs米国の様な国家をベースにして考えてしまうところに,少々違和感を覚える。(なぜ,iPodやGoogleが日本から生まれないのか?という点はさておき。)
タイトルと内容がイマイチマッチしていない感じもある(「リアル≒国家権力」ということなのだろう?)が,60年代のサブカルチャーをベースに,90年代半ばのインターネットの勃興から現在までのネットとそれを取り巻く環境の変遷をまとめたものとしては,良いと思う。
関連書籍にも手を出してみたくなる。
・Winnyの技術
・インターネット (岩波新書)
・スティーブ・ジョブズ―パーソナル・コンピュータを創った男〈上〉
・オープンソースがなぜビジネスになるのか (MYCOM新書)