NHK技研公開

昨日、NHK技研公開に初めて行ってきましたので、その走り書きメモ。


会場には9時50頃到着しましたが、すでに開いており、混雑してました。
来場者の全体的な印象は、年配の男性が目立ったのと、(多分)理系パパが子供を連れてきているのが目につきました。さすがに土曜日だけあったな。


個人的には、普段、どちらかというと、通信分野に目が向いている分、放送の高度化というのはあまりなじみがなかったため、(「今時、そんなの常識だよ」という声もあるかもしれないけれど、)「へぇ〜こういう方向に向かってるんだ」と、単純に、世の中の流れをつかむには良い機会でした。 スーパーハイビジョン(3300万画素、音声22.2ch)なんかも当たり前のように出ており、まあ綺麗なんですが、果たして、必要なのか?と。


以下、気になったものをいくつかメモっておきます。

BSデジタル放送高度化
2011年のアナログ停波以降に向けた、BSデジタル放送の高度化の方向性が具体的に展示されてました。

まずは、伝送レートの大容量化をはかるというもの。現行をベースにして、ロールオフ率と誤り訂正改善で、52Mbps→70Mbpsに向上する方法。そして、これはアンテナの大型化が前提となるらしいが、変調方式をQPSK、8PSKに加えて、16APSK、32APSK ( Amplitude Phase Shift Keyingなのか?)などを利用する方法。これだと、32APSKで126Mbpsらしいです。

  
 
32APSKのコンスタレーション。恥ずかしながら、これは初めて見ました。。。

この伝送レートが、今時速いか、遅いか?というのはさておき、衛星だと、日本全国に一斉に降らせる事ができるってのが最大のメリット。
それを最大限生かしたサービスが、以下のダウンロードサービス。
いままでの放送で使われていたMPEG-2のTSの固定長パケットは、固定長にするためにどうしてもオーバーヘッドが生じていたものを、ダウンロードでは、いわゆるIPパケット構造を採用して、可変長でかつ、通信でも使われるヘッダ圧縮(決まりきったIPヘッダなどの情報は圧縮して伝送し、受け手で元に戻す)ような仕組みを取り入れる多重化方式を検討中とのこと。ヘッダ圧縮、TLVフォーマット云々も含めIPにのせて流すという流れが、MACレイヤ以上で、通信との整合性をとったという事みたいです。

 
で、約70Mbpsの帯域をダウンロードに割り当てると、家庭におかれたHDD内蔵など蓄積型の受信端末へ、時間を決めて数分間で1番組を衛星から送る事ができる。当然、受信機側では、それを予約するような操作は必要ですが。テレビ視聴の幅が広がるようです。。。。


横におかれていたダウンロードサービス端末のTV試作機では、「料金***円」と書いてあったので、PPV的な扱いになるようです。「なぁんだ、カネとるのかよ〜」と思いましたよ。

こういう視聴形態がどこまで広がるかってのは未知数だし、ネット側からはAppleTVの様な端末も出て来てるし、このテレビ多チャンネル時代に、世の中の視聴者が、それについていけるのか?という疑問は根本的にあるな。
NHKとしては、いままで撮り溜めた膨大なコンテンツがあるんだけど、それをどのように視聴者の目の前にぶら下げるか?ってので、普及するか?するとしても、その加速度合いが決まってくる気がします。。。



ワンセグバルク伝送
すぐ隣には、ワンセグの連結再送信があったのですが、僕的にはこっちに惹かれました。

ワンセグの1セグメントでは送れないような大容量コンテンツを、分割し、1セグを複数使って伝送してあげる。それを、受信機側で合成するというもの。元々ISDNなんかでも、"64k + 64k = 128kbps"とやっていたような、「1チャンネルじゃ速度が足りないから、複数束ねて速くしよう」って発想。最近では、DOCSIS3.0のチャンネルボンディングしかり、なにかの伝送媒体ができると、次の発想はこうなる訳ね。。。


デモでは、連結対応受信機(192kbps)とバルク伝送対応受信機(512kbps)の比較をやってました。



□ 電波テレビカメラ

いわゆる光学式のカメラとは違い、電波であるミリ波を使って撮影するカメラ。レーダーみたいなものです。
応用範囲が、「災害報道への利用」ってかいてあるけど、僕にはイマイチ想像できません。。。


仕様と性能。60GHz帯ですね。
解像度が150*50ピクセルとかなりイマイチです。

どういう方法かというと、カメラ(とてもそうは見えないけど・・・まあアンテナです)が、ぐりぐりと動き回って対象に電波を照射し、その反射波から、対象の像を撮影するというもの。
デモでは、濃霧の煙幕越しに、マネキン3人の姿を撮影していました。
 

(仕組みのボードの右後ろにビニール幕で覆われた煙幕があります。その右にカメラが・・・)
カメラ(銀色の物体)と、撮影の映像例(PCモニタ上)。カメラも上下と左右に首を振って10秒で一回の絵を出力するということで、フレームレートは0.1fps。
さすがに映像は白い影が映っているようにみえるのだけの状態で、とても人の形には見えず、微妙ですね。


インタラクティブ放送サービスのプラットフォーム

現行のBMLを使ったデータ放送ではなく、Javaを使い受信機側に搭載されたJava実行環境でプログラムとして実行してやる方法。
欧州のMHPとか、北米のOCAPなどに相当するものですね。

それほど新しいものでもないんでしょう。
ネットで検索すると、だいぶ前からこのARIB STD-B23というのは話題になってるみたいですが。今後はどんな方向に進むのか?
http://plusd.itmedia.co.jp/broadband/0307/02/lp14.html
http://www.kumikomi.net/article/report/2003/23mhp/01.html 

北米のOCAPも、話としては5~6年前からでているはずだけど、その時間経過後、市場に対してサービスがローンチして離陸できてるのか?というとそうでもなく、CESやNCTAの報道を見てる限り、「Tru2way」と名前を変えて、今年末あたりからようやく市場投入がはじまりそうな気配。離陸はさらに2〜3年先かな。。
このへんは、マルチベンダで放送/TV系の仕様を決めてる間に、通信/PC系から攻め込まれてしまいうるのではないか?と。確証はないものの、なんとなく感じてるところです。